2005-06-01 14:37:19

イラ9 [ 9Love日々の報告 ]

5月は、私にとってすごく特別な1ヶ月でした。

日々戦争が続いているイラクからふたりの大切な友人が来日してトークツアーをしました。東京・名古屋・大阪・福岡・北海道でのイベントに続き、ピースボートの出航にあわせて横浜・神戸で記者会見。ツアーにずっと同行させてもらえた私は、なんて運のいいやつなんだと思います。

イラクについて、私は何も知らなかった。
私たちは日々新聞やテレビで情報を得ているつもりになっているけど、実は、インタビューに来るテレビ局の人や新聞社の人だって、びっくりするほど何も知らなかった。

だから、イラクから来たワカルさんたちに教えてもらったことを、ちょっとだけみなさんにもシェアさせてください。

イラクは、もともと大学就学率が80%を超える、教養と文化ある土地でした。
それは、医療と教育がすべて無料の徹底した社会福祉政策の恩恵。ワカルさんは「フセイン政策は、悪いことばかりじゃないのよ。彼は自分の政策に反対する者に対しては冷たかったけど、アメリカのような人種差別や無差別殺戮はしなかった」と言ってました。

イラクが豊かなのは石油があるからだと思っていたけど、本当は石油以外にも豊かな自然資源、豊富な教養ある人材が
生み出す農業・工業の賜物でもあった。中東世界だけでなく、世界的にももっとも豊かだったはずのイラクは、91年からの経済制裁と最近のイラク戦争でズタズタになりました。
25歳のファディは「僕は、生まれたときから戦争の中にいたんだよ。1歳のときにイラン・イラク戦争がはじまり、空爆があるたびにお母さんの腕に抱かれてシェルターに移動したのが最初の記憶だった。8年間の戦争がやっと終わって平和が来るのかと思ったら、サダムがクウェートを侵攻した。その翌年からの国連経済制裁は、本当にイラク中の人々を苦しめたんだ。制裁がやっと終わったと思ったら今度は米軍のイラク侵攻だった。」
「僕にとっては、ヨルダン以外では初めての海外が日本なんだ。日本にきて初めて海を見た。日本に来て初めて電車に乗った。日本に来て初めて"平和ってこういうことなのか"とみんなの笑顔に教えられた。」と話しました。
イラン・イラク戦争から数えたら25年間戦争状態が続き、土地や川を放射能の汚染でやられてしまった今では、イラクはジンバブエやボツワナと並ぶ「世界最貧国」のひとつになっています。

1日2ドル以下で生活する人が人口の2/3以上います。
安全な水が手に入らない人が人口の40%以上います。
豊かなチグリス・ユーフラテス川を持っているにも関わらず、です。

雇用がないために、2,000ディナール(約12ドル)で人を殺すことを引き受ける人がいます。
50ドルで近所の「反政府」市民を密告する人がいます。
情報が正しくなくても、情報提供者には謝礼が支払われ、密告された家族は家族ごと拘束されることも珍しくありません。

これまですべて無料で行われていた大学までの教育や医療保障は新政権のもとでは有料になるそうです。ワカルさんは、歴史の教科書が書き換えられ、親米・親イスラエル的な内容の教育改革についても憂慮していました。

日本で「イラク人のテロリスト」対「米軍率いる多国籍軍」の構図しか報道されていないことに、ふたりは驚いていました。

「米軍は、イラクの政治をコントロールするためにバグダッド中心に居座っています。だから、国境は無法地帯。無法地帯になった国境を超えて、アフガニスタンやほかの国から、アメリカを嫌う過激派が日々入ってきています。彼らは、米軍に対して復讐のチャンスを狙っていたのだから絶好の機会です。ところかまわず米軍と見ると攻撃を開始する。だから、イラクのすべての町は、いつでも戦場になります。 多国籍軍と過激派にはさまれたイラクの市民は、完全な被害者です。仕事に行くのもおそろしい。暗くなる前には必ず家に帰ります。でも、家にいたって爆撃音はやまない。いつ家が破壊されるかわからない。私の家も、2度強奪にあいました。 
国外から来る過激派の目的はアメリカ流の"民主主義"がイラクで成功しないように、とにかくイラクの治安をズタズタにすること。
これから国を作っていく知識層に"イラクを出て行かないと殺す"と脅迫し、実際に私が知るだけでも63人の医師や学者が殺されています。だから残った知識層がどんどん国外流出してしまう。それでは、病院も大学も閉鎖せざるを得ない。
本当にイラクの治安を維持するためにいる軍隊なら、国境線を警備してほしい。国際社会には、イラクの市民はテロリストではなく被害者だということを理解してほしい。」

とにかく、日々が学びの場でした。
日本に来るために国を出るのでさえ、去年高遠さんたちが拘束された危険な道を13時間も運転しないといけない場所から来てくれた二人。家族や友人を国に残してたいへんな気持ちでいっぱいのはずなのに、つねに明るくチャーミングで、すぐに誰の懐にでも飛び込むあったかい人柄に完全にやられてしまいました。

二人には、イラクの現状だけじゃなく、ひとのつながりの大切さ、命のはかなさを体ごと教えてもらった気がします。「本当のこと」ときちんと向き合って関わりなおしていくこと、想像力をみがき続けること、そういうのを大切にしてちゃんと生きようと心に決めました。

先週亡くなった、私の大切なピースボートの友人が言いました。
「自分には、家がある。食べ物がある。水もある。大切な家族と友人と、安全が脅かされない場所で笑う余裕がある。
だったら、あとはその最低限の幸せをどれだけ多くの人が持つことができる世の中を作ることができたか、それが自分の豊かさにつながるんだ」
本当にそうだと思いました。

給料が安いとか、労働時間が長すぎるとか、週末がないとか。
そんな小さい文句を言ってないで、そういう豊かさを直接感じることができる職場にいられる幸せをもっと大切にしようと思っちゃったということです。9LOVEも、長く太くがんばりたい。

全然ちょっとじゃなかった。
スーパー長くなりました。スミマセン。


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